おだあし田んぼアート・抜穂祭&稲刈りイベントに参加しました!(2016.10.15)
足柄上郡山北町谷峨6月4日の田植えから約4ヶ月、いよいよ抜穂祭&稲刈りイベントの日を迎えました
6月4日に開催されたイベント「おだあし田んぼアート2016「OUR WATER SOURCE」(私たちの水源)」に参加し、田植えを行ってから約4ヶ月。待望の「抜穂祭&稲刈り」イベントが10月15日(土)に開催されたので参加してまいりました。
今回は公共交通機関を使って現地入り。土曜日の御殿場線の車内は丹沢を訪れると思われるハイカーの皆さんでほぼ満員でした。最寄り駅の谷峨駅に降り立つと、現地は抜けるような青空で、山々の自然に囲まれた新鮮な空気を吸い込むと、それだけで元気が沸いてくるような感覚になりました。
谷峨駅から少し歩くと、田んぼアートイベントで田植えをした田んぼが見えてきました。実は事前の情報で、今回の田んぼアートで描き出そうとした「OUR WATER SOURCE」(私たちの水源)の文字が、稲の成長スピードと色が予想に反したため「OUR WATER SOURCE」の「SOURCE」の部分しかはっきりと読めない・・・ということを聞いていたので、わかってはいたのですが、なるほど確かに「OUR WATER」の部分がはっきりとは読み取れないのがわかりました。
うーん、残念。でも「源」の「SOURCE」の文字ははっきりと読み取れるし、何よりも水源の恵みを享受する都市地域に住む人達が水源地である山北町に集まって、水源の大切さを訴えるため、みんなで力を合わせて田植えを行ったこと自体が素晴らしいことであり、また、こうして稲刈りイベントで再び集まれるだけでも素晴らしいことだなと思い返して、現地の田んぼへ向かいました。
抜穂祭、そして稲刈りスタート!
まずは、9時30分から稲刈り神事(抜穂祭)が始まりました。神様に現場にお越しいただき、実りへの感謝と稲刈りの安全を祈願します。
そして、稲刈り神事が終了すると、いよいよ稲刈り本番です。今回は稲刈り自体に機械は使用せず、刈り取りは人力です。稲刈りの方法について主催者のおだあしコアメンバー志村成則さんから説明がありました。
1 まずは稲を刈り取る
2 刈り取った稲穂は2束をまとめ、用意された紐で下から15~20センチ程度のところで縛る
3 縛った稲穂は脱穀にかけるため、脱穀機の前まで移動する
4 脱穀の終わった稲ワラは壁に立てかけて干す
そしていよいよ、刈り取りにかかります。田んぼに入って稲を刈り取る人、刈り取った稲をまとめる人、そしてそれを紐で縛る人・・・最初は不慣れな作業でしたが、皆さん5分もしないうちに慣れてきて、そのうちに人手が足りないところを探して手伝う・・・という作業の流れができてきました。
私も最初は刈り取った稲をまとめる作業をしていたのですが、刈り取りの終わった田んぼに足を踏み入れた瞬間、靴がメリメリと地中に沈み込み・・・。そうです、主催者側のアナウンスで「長靴」を用意するよう聞いていたにもかかわらず、荷物になるのがイヤで普段履いているスニーカーで来てしまっていたのです。
「稲刈り直前の田んぼならもう乾燥してるから普段の靴で大丈夫だろう」という私の浅はかな認識は見事に外れ、靴は瞬く間に泥だらけに・・・。稲刈り直前の田んぼでも土は乾燥しているわけではなく、まだまだ柔らかい状態なんですね・・・。いい勉強になりました。
(その証拠?に、子どもたちは田んぼからでてきた蛙を捕まえていました。数え切れないほど(笑))
そして稲刈りは着々と進みます。刈り取った稲を脱穀する作業も初めて見たのですが、コレはなかなか迫力ありますね。稲穂を機械に投入すると、瞬く間に脱穀されてお米粒ができてくるという。普段何気なくいただいているお米がこうした作業を経て口に入るものになってくることを考えると、農家の方々への感謝と、お米は一粒たりとも無駄にせずありがたく頂戴しないといけないという思いが改めてわいてきました。
その後も作業は続き、みんなの力でお昼前には稲刈りが終了しました。その間中、私は稲穂をまとめて縛る作業を中心に従事していたのですが、天気もよくすばらしい環境の中で非常にいい汗をかくことができました。
絶品のお昼ごはん、そして水源地域の現状
稲刈り終了後は、青空のもと、みんなでおいしくお昼ごはんをいただきました。
志村さんによると、今回は5升炊きの釜を使って小田原産のキヌヒカリ8kgを炊いたとのことです。炊きたてのごはんは大変おいしくて、一汗かいた後でもあったことから、おかずがなくても全部食べ切れてしまいそうなほどでした。
加えて、猪肉のスープ、ittoku星さんの鹿肉のパテ&鹿肉の焼肉、小田原市久野の峯自然園さんの焼きしいたけ、自家製天然酵母ぱんDestureさんの米粉パンが振舞われました。そして田植え時と同様、Alfieri Cafeさんからカフェチケットの提供がありました。
(田植えイベントの際にも志村さんから説明をいただきましたが、猪や鹿を使った料理を提供するのは、森林で増えすぎた猪や鹿による農業被害を訴えるため。猪や鹿の肉を食べて、森林のバランスを取り戻せたらとの願いが込められています。)
提供されたメニューはどれもまさに逸品!おいしく昼食を楽しんでいると、志村さんが現地の山北町谷峨にお住まいの方とお話をされていたので、少しだけお話を伺うことができました。
お話を聞かせてくれたのは谷峨前耕地組合長の薮田源一さんで、日頃はこの地区の用水の管理をされているとのことでした。薮田さんによると、この地区も高齢化が進み、やむなく休耕田になっている田んぼがあるので、こうした取組みでこの地域に人が来て休耕田を使ってもらえるならどんどん使って欲しいとのことでした。
水源地域の高齢化は山北町だけでなく、県内の他の水源地域でも同様であり、地域の担い手不足が共通の課題でもあるのですが、お話を伺いながら、こうした取組みが少しでも注目されて、より多くの都市地域の人たちに関心をもっていただければ、そして、こうした交流が地域の活性化につながればいいなと感じました。
おだあしの取組みに賛同して多くの人たちが参加
最後に志村さんから今日の稲刈りイベントについてのお話がありました。志村さんによると本日の参加者は120人ほど。田植えイベントに引き続き100人を超える人たちがフェイスブックを中心に集まってくれたとのことでした。
そして、志村さんの呼びかけで、参加者の方々から、それぞれが日頃取り組んでいることについてのお話が始まりました。
すべての方を紹介することはできませんが、お話をされた方々の中には、パン教室や和食教室の講師をされている方や、志村さんと一緒に小田原市内で雑穀米のイベントを開催されている料理研究家の方、子どもの未病予防診断士の方、森づくりに尽力されている方など様々な方がいらっしゃいました。
その中で、お二人にお話を伺えたので、この場で紹介したいと思います。
まずは、子ども未病予防診断士として活躍されている沖崎雅子さん。未病というと、神奈川県が黒岩知事のもと県庁をあげて未病を改善する取組みを進めていますが、沖崎さんは東京で活動をされており、今日のこの稲刈りイベントにもお子さんを連れて東京からお越しになったそうです。
未病に関心を持たれたのは、以前、作業療法士をされていた時に、あまりにも若い方が病気になられている現状があり、その方たちのリハビリを担当する中で、対処療法ではなく、根幹的な治療やそもそも若い方が病気にならないような世の中にしていかないとまずいと焦りを感じられたからとのこと。
そして、このおだあしのイベントの開催を、かつてパン教室の講師としてお付き合いのあった竹内絢香さんからお聞きして、子どもにとってよりよい食と環境の手助けをする活動につながるのではと感じて参加されたとのことでした。
なるほど、志村さんの水源を思う気持ちが、未病を改善する環境づくりという点につながり、共感を得られていたんですね。
次に、みんなの森づくり総研の代表理事を務められている川下都志子さん。
志村さんのお話の後に、水源を守る大切な森づくりの話のお話がありました。
川下さんは環境省認定の環境カウンセラーでもあり、みんなの森づくり総研では、「いのちの源」である森をよみがえらせるため、「森のもと」となるどんぐりや種を蒔き、大地に苗木を植え、本物の森を育てる活動をされているそうです。
今回、山北町の「NPO法人共和のもり」から、志村さんの活動を紹介されてこのイベントに参加されとのことでした。
川下さんからは、まず、現在の日本の森の課題として、戦後の植林により人工林が多く、今はその人工林を手入れする人があまりいないため、荒廃している現状の説明がありました。
その説明を参加者の皆さんと一緒になって、大人を高木、子どもたちは低木に見立て、大人の木が密集しすぎていると子どもたちの木に光が入らず、若い木や下層植生が育たなくなり、森が荒れてしまうことを実演してわかりやすく解説してくださいました。
また、川下さんは森を豊かにすることが、安定した川の水量につながり、動物と人間との棲み分けにもつながる。今の水があるのは私たちの先祖達が守ってくれたものだから、荒れた森を再生して後世に引き継いでいかなければならないという思いを語ってくれました。
お二人のお話をお聞きして、みなさんがそれぞれ大切な思いを抱きながらこのイベントに参加されていることがよくわかりました。
最後に、志村さんからはあと3年はこの山北町でのイベントを続けて行きたいとお伺いしました。これだけの数の皆さんがフェイスブックを中心に、人と人とのつながりでこの場に集まったということを考えると、人が人を呼ぶこのおだあしさんの取組みは、継続すれば年を経るほどより大きく広がっていくんだろうなと感じました。そして、来年もぜひ、この取り組みに参加させていただきたいと思いました。
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