宮ヶ瀬湖
2016月3月16日

地域住民が集い、気軽に交流できる場「結の樹よってけし」

愛甲郡清川村

NPO法人 結の樹よってけし外観(3月2日撮影)

「NPO法人 結の樹よってけし」の設立の目的や経緯を教えてください。

清川村煤ヶ谷で、2014年9月より、地域住民が集い、気軽に交流できる場として活動をスタートさせた「結の樹よってけし」の代表者岩澤克美さんにお話をうかがいました。
※2015年10月13日に、NPO法人化し、活動中。

<NPO法人 結の樹よってけし 岩澤さん談>

私は10年前に山梨県から清川村に来ました。その時の印象は、自然が豊かで、住んでいる方々の人柄も良く、とても素敵な場所だと感じました。清川村に来てから、しばらくの間、社会福祉協議会で仕事をしていましたが、最初に感じた清川村の良い印象と、高齢者の生活の厳しい現状に、とてもギャップがあるということを知りました。

私の母親が障害を抱えて生活していたこともあり、「ここは不便だなあ・・・ここは解決できないかなあ・・・」と、気付いたところに対して、生活が便利になるようにと改善点の提案を社会福祉協議会内でしていましたが、できることはそう多くはありませんでした。

清川村は少子高齢化が進んでおり、10年も経つと高齢者が半数を占めることになります。今、私が困っていることは、後々他の人も同じように困ることになると思い、自分で何か行動できないかと考えるようになりました。その時、知人の紹介から空き家を利用できることになり、その空き家で地域の方々にとって居心地の良い場所を提供し、交流できる場を設けたいと思い、活動をスタートさせました。

NPO法人 結の樹よってけし 代表の岩澤克美さん(3月2日撮影)

関連リンク:NPO法人 結の樹よってけし関連リンク:「結の樹よってけし」の活動について

現在の取組内容や活動状況について教えてください。また、「結の樹よってけし」に来られる方はどういった方々でしょうか。

「結の樹よってけし」では、看護師をはじめ、元民生委員、障害を持つ子の母親、デイサービスの担当など、いろいろな方々の協力により成り立っていて、「自分たちができること」「自分たちが発信できること」を活動につなげています。例えば、月1回の看護師が行う健康講座や、地域の野菜を使ったお弁当作りなどを行っています。

お弁当作りは、地域の方々から地元の野菜を提供いただいて、ボランティア主婦の皆さんが料理をしていますが、野菜を提供いただいた方々にもお返しをする、というようにしています。
「お互い様」の精神をもって、「人」と「モノ」と「笑顔」でつながりをもっています。

その他にも、毎月、地域の高齢者を先生として、大人の塗り絵教室や、オカリナ教室、折り紙教室などを開催しています。

配達用のお弁当を作る運営スタッフ(3月2日撮影)

オカリナ教室風景(3月2日撮影)

「結の樹よってけし」に来られる方ですが、ご年配の方々がほとんどですが、数は多くないものの、比較的若い方もいて、なかには中学生もいます。その中学生はとても素直で、「自分にできることで人の役に立ちたい」という気持ちを持ってくれています。食器などの洗い物が多く出た時も、積極的に手助けをしてくれたり、高齢者にお茶を入れて、「美味しいね」「また来てね」と言われて嬉しいと感じてくれています。そういった気持ちが人とのつながりになっていて、とても大切なことだと思っています。

実は、人の役に立つことにやりがいを感じているのは若い子だけでなく、「結の樹よってけし」に来られる高齢者も同じです。来られる方の中で最高齢は96歳になりますが、「結の樹よってけし」に来られると、とても生き生きしています。自宅にいると、家族が食事の片付けなども行うため、テレビが相手という生活になってしまいますが、「結の樹よってけし」では食器などの洗い物は自分でもできるからと、自主的に行動していただいています。また、他にもお願いしたいことがあった時に依頼をすると、すべて自分で段取りをしてこなしていただいています。それに対して、私たちも感謝の気持ちで接していく、ということが大事だと思っています。

美容室風景(3月2日撮影)

バザー風景(3月2日撮影)

地域の活性化と住民相互の交流を促進することが「結の樹よってけし」の大きな目的かと思いますが、運営する中で、今、感じている課題は何になりますでしょうか。

今、運営スタッフは全員ボランティアで、無償で協力していただいています。運営スタッフには本当に感謝していますが、長い目で見た時には、有償ボランティアにしようと考えています。何かをやっていただいていることに対して、感謝を表していきたいと思っています。

これから、どんな事業を行って収益につなげていこうかと思案しているところで、資金作りをしていくことは理事長である私の役割だと思います。「お金はいらないわ」という方もいらっしゃいますし、「少しのお金でもお小遣いになるわ」と思う方もいらっしゃいます。少しのお金かもしれませんが、ご飯を食べたり、お茶を飲んだりと、人と接して楽しみながらお手伝いいただいて、その対価としてお小遣いになれば、今よりも多くの方々にとって、「結の樹よってけし」に参加しやすくなるのではないかと考えています。

また、将来は、若いお母さん世代にも来ていただきたいと思っています。現在、「結の樹よってけし」を運営しているスタッフの平均年齢は65歳ぐらいで、5年もすれば70歳になります。これから、若い世代の方々に入っていただいて、徐々に世代交代をしていかなければ、運営自体を続けていくことができなくなります。そのためには、小さいお子さんが遊べるスペースを作ったり、車で通って来られる方のために駐車場を確保したりと、課題もありますが、高齢者・お母さん世代・子ども世代の3世代で交流できたら良いと思っています。

手作りの小物や衣服類など(3月2日撮影)

着付けの元先生と話をする岩澤さん(3月2日撮影)

「結の樹よってけし」を運営する上で、岩澤さんが大切に思っていらっしゃることを教えてください。

「あなたの笑顔がたからもの」。ダウン症のお子さんが私の母にプレゼントしてくれた「書」があります。これが、私が一番大切にしていることで、皆さんの目にとまるところに飾っています。ここに来られる方々には、「笑って、笑って、楽しかった」と思って帰っていただけるような場所でありたいと思っています。

「周りの方々のご協力があって、この場所がある」という、感謝の気持ちを忘れずに運営していきたいと思っています。

運営スタッフの方々にご用意いただいたお昼ごはん(3月2日撮影)

ダウン症のお子さんがプレゼントしてくれた、「あなたの笑顔がたからもの」と書かれた「書」(3月2日撮影)

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