宮ヶ瀬湖
2018月9月10日

自然は大きな宝箱。ふるさとを探しにおいで。
ー鳥居原ふれあいの館 坂本勝津雄さん

「ストレス社会」とも言われる現代、ほっと一息つける場所としてオススメしたいのは、相模原市立「鳥居原ふれあいの館(いえ)」です。
宮ヶ瀬湖の湖畔にある農産物直売型の交流施設であるこちらでは、人が自然の一部であることを実感できるようなイベントが毎月たくさん開催されています。
風のように自由を好み、様々な人を受け入れる、館長の坂本勝津雄(さかもと・かつお)さんにこの場所の魅力を伺いました。

季節ごとに開催されるユニークな体験教室

 神奈中バスを降りてすぐ見える外観

まずは、年間多くのイベントが開催される「鳥居原ふれあいの館」の代表的なイベントを紹介していただきました。※開催時期は目安です。詳しくは「鳥居原ふれあいの館」までお問い合わせください。

薪割り体験教室(開催時期:5月初旬 / 秋〜冬頃)

「鳥居原ふれあいの館」で15年続く、参加無料の人気イベント。近隣の里山で育まれた木を伐採して使います。薪ストーブを愛用するメンバーが先生となり、みんなで楽しんだ後はその薪で暖を取ります。炎をぼーっと眺めているだけで、あまりの気持ちよさに「野垂れ寝※」してしまいそうです。※ついウトウト寝入ってしまうことを表した造語。

こけ玉作り教室(開催時期:6月上旬頃) 

ちまたで静かなブームとなっているこけ玉作り。「鳥居原ふれあいの館」でも入梅直前に開催されます。グリーンインテリアとしてもおしゃれなこけ玉は手作りすることで、より一層愛らしいものになりそうです。こけを虫眼鏡で観察すると、普段は気づかない私たちの足元に、瑞々しい生命の輝きのあることが見えてきます。

ナチュラルリース作り教室(11月中旬頃) 

身近な自然を知るきっかけ作りとして、ナチュラルリース作り教室があります。松ぼっくりやどんぐり、モミジバフウなど、周囲の樹木が生きた証として残してくれるものを使ったワークショップです。普段から散歩中に木の実を集めている坂本さんは、自然の中で宝探しをするプロフェッショナルです

燻製教室 ①スモークチーズを作ろう / ②ベーコンを作ろう(開催時期:1〜2月初旬頃)

2018年から「燻製教室」が新しく追加されました!楢(なら)の木を、細かくカットして作った燻製チップを使って、スモークチーズやベーコンを作ります。家族で燻製作りを楽しんだ後は、大人のお酒のおつまみにもなるとても美味しいイベントです。

しいたけ植菌体験教室(開催時期:3月初旬頃)

「この教室を迎えると春を感じる」という参加者もいる早春に開催されるイベントです。樹齢50〜60年の太い原木を切り出し、植菌のサイズに合うように切断して使用します。余った部分は薪に使用し、捨てることなく活用します。

この場所をとても気に入って来てくれる人が多い

以前「鳥居原ふれあいの館」で来場者アンケートをとったところ、毎週のように来ている人や、「館長に毎日会いたい」というメッセージまでもらったといいます。なぜ、この場所がそんなに愛されるのでしょうか。

 宮ヶ瀬湖が一望できる場所でのんびり。

「ロケーションがいい。こちらから宣伝もしないし、語りかけもしない。規制もしない。自己責任で過ごしてもらう。そんなところが気に入ってもらえているのかな。

私自身は全く話しかけないという訳ではなく、むしろ積極的にレジに立つようにしていて、『いつもありがとうね』など軽く話しかけるだけで、“館長らしき人が気づいてる”って思ってもらえるようにしています。
人によってはそういったつながりを求めたり、逆にそっとしてほしいこともあるでしょう。」

前職は、知的障がいや発達障がいの方の生活支援員を38年間やっていた坂本さん。そのまなざしは来てくれる方の気持に寄り添っています。

 自然の厳しさや人への想いを、時に熱く語ります。

例えば薪割り体験教室でも、使い方を誤ったら怪我をするような斧を持たせます。子どもに刃物を持たせるのは危ないけど、持ち方ややり方をしっかり教えると、緊張感があるから怪我をしない。

薪を割ることのスリル、怖さ、重さ、割れた時の快感。大人と子供が同じ時間を楽しむことは、“特別な時間”になるよね。そんなことが日常にできる場になればいいなと思っています。」

 材木置き場にも常連さんがいらっしゃいました。

動と静の場所、その上を走る風の人

 ユーモア溢れる語り口で、その場を明るくしてくれます。

高知県の桂浜出身の坂本さんは、以前は横浜で暮らし、陶芸をするために津久井へ移り住んできました。それぞれの土地の良さを伺いました。

「ここらへんは見ての通り山が多い。山って懐が広いというか、『静』の印象が強いんです。力を貯めるとか蓄えるとか、山の人たちは見守る・維持することに長けているような印象を受けます。決まったことを季節ごとに進めていって1年が完結するような、自然の営みを感じる場所です。

対して、桂浜や横浜など海に近いところは『動』。海に出て魚を捕って、活性的な動きをする。改革など変えていくのは海側の人が多いように思います。

山の民、海の民。個人的には、両方を行き来することが幸せでした。交通の便が良くなってここにも新しい人たちがどんどん移り住んできているから、面白い時代がくるんじゃないかなと思っています。」

 坂本さんの作品。陶芸教室は年数回行われています。

坂本さんがライフワークとして取り組んでいるのが陶芸工房『風人』(ふうじん)。この名前には風のように、フーッと吹けばどこまでもいける、そんな自由な生き方をしたい、という意味が込められているそうです。

「お客さんはここへきて、都会的なものは求めていない。昔あったものとか、何かをたぐろうとしていたり。昔の“ふるさと”探しとか、自分の知っている田舎探しをしているような気がします。

こちら側が意気込んでも一方通行になることが多いので、主体的に自分の意思でこうしたいという気持ちを尊重しています。のんびりしたい、何も語らず帰りたい……いろんな人をありのまま受け止めたいと思っています。

人間ってそうだよね。いろんな人がいて、ふれあいは面白いと思います。」

楽しい取材は、坂本さんのこんな言葉で終わりました。

「なんか食べようぜ。」

 取材後はスタッフさん手作りの美味しいシフォンケーキをいただきました!

■「鳥居原ふれあいの館」へのアクセス情報
〒252-0155 神奈川県相模原市緑区鳥屋1674
最寄駅:橋本駅
橋本駅より神奈中バスで「鳥居原ふれあいの館」行き利用。終点下車。本数が多くないので運行時間をお確かめの上、ご利用ください。(1時間に1本程度)
お車の方は宮ヶ瀬ダムを目指してください。「鳥居原ふれあいの館」は津久井側の湖畔にあります。

関連リンク:鳥居原ふれあいの館

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